Dear you. ~あなたへ~
「じゃあ、また明日学校でね。」
「へっ、上がっていけへんの?」
「いや慎吾くんの
顔見たかっただけだから。」
「ええやん。ちょっと上がっていったら?」
「でも・・・」

私は少し不安だった。
何かされそうで、怖かった。
慎吾くんが
そんなことするわけない。
でも私の中で今まで
付き合った人達の
その顔が、その声が
出たり消えたりする。

私が黙っていると、
慎吾くんは何かを察してくれたのか
深いため息をひとつついて
「ま、ええや。また今度来て。
紹介したい奴おるし。」

「ごめんね・・・。じゃあまた。」
私は自分の勇気のなさに
がっかりしながら
帰り道をとぼとぼと歩いた。
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