二股男─甘い誘惑切ない葛藤─
無言で髪の毛を乾かしている愛……


そんな彼女を後ろから抱きしめ
耳元で囁く。


「なぁ?
3ヶ月記念日、どこか行かねぇか?」


「……」


「愛?聞いてる?」


俺の言葉なんか無視してドライヤーをかけ続ける彼女の顔を後ろから覗き込む


「愛?」


「見ないでよ」


気づくと愛は、目を真っ赤にして
大粒の涙を流していた


「えっ?
どうしたの?何、泣いてるん?」


「……」


バスタオルで目元を覆い
必死で涙を堪える姿が痛々しい。
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