二股男─甘い誘惑切ない葛藤─
俺……何か言っちまったのか?


オロオロとする気持ちとは裏腹に
愛の前に座りなおして
彼女の手を握り締めながら
俺は、静かに話しかけた


「愛?何があったんだ?」


「……何でもないよ」


「……何でもなかったら泣かないだろ?」


「本当に何でもないってば!」


なんだよ?
何、怒っているんだよ。


「怒ってるの?」


「怒ってない」


「じゃあ、何で?」


「知らない」


「俺、訳言うまで引き下がらないよ?
しつこい男だから」


もしも彼女を傷つける事を言ってしまったのなら
謝りたい……


もしも彼女に辛い事があったのなら
力になりたい……


素直な想いだった。
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