二股男─甘い誘惑切ない葛藤─
諦めかけて
電話を切ろうとした瞬間……


電話の向こうで
かすかに声が聞こえた。



「もしもし?」


「もしもし?愛ちゃん?
大丈夫?」



「しい君……
助けて──」


愛ちゃん……


弱々しい声──…


そんな声出されたら俺……
ほっとけねぇよ。



「今から、迎えに行くから
家の近くのコンビニで待ってて」


「えっ……でも──」


「さゆりなら大丈夫だから!!」


「………」


グスンと、涙をすすりながら
必死で我慢している愛ちゃんを
ほっとけるわけねぇだろうが!!


俺は、有無を言わさず電話を切り
家を飛び出した。
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