二股男─甘い誘惑切ない葛藤─
「ありがとう──…
しい君……少しの間だけでいいから
一緒にいて下さい」


愛──…



もう一度、彼女をきつく抱きしめ呟く。


「愛……好きだよ」



「しい君……」



愛が、囁いた瞬間
俺達を取り巻いていた空気が
一瞬穏やかになり
俺と愛の唇は、静かに触れ合った。


俺たちの初めてのキスは
どこか懐かしい気持ちにさせてくれる物だった。


だけどこのキスは
罪を一緒に背負った証しだ──…


もう、さゆりのことなんか
どうでも良かったんだ。


最低だな……俺──…

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