二股男─甘い誘惑切ない葛藤─
洗面所で顔を洗いながら
密かに一人で誓いを立てた。



もちろん、愛に
ひろ子の代わりだなんて
伝えるはずなんてない。


そんなの、更に彼女を傷つける事になる



ボーっと朝のニュースを見ている愛に
話しかけた。


「コーヒーでも飲む?」


「うんん……私コーヒー苦手だし
大人になったらコーヒー飲めるようになるって
思ってたんだけどね」



あははと苦笑いをして
愛は立ち上がる。


「私、コーヒーいれてあげるよ
あっ!台所に他の人が立つの嫌?」



「ありがとな、
ならお言葉に甘えるわ
愛は何飲む?」


「私はお茶持ってるから平気だよ!」


ったく……


こんな所までひろ子に似なくていいよ。


あいつも同じようなこと言ってたな……


『大人になったらコーヒー飲めるようになるのかな』って……


しかもお茶大好きだったし。
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