【短編】BrownieSugar〜第1弾★
*1*
「これ、どうぞ。」
寒空の下、俺の前に、缶コーヒーを持った女の子がいた。
かじかんだ手が、一気に温かくなる。
出会ったのは、2年前の冬。
俺の彼女・椎葉優梨(シイバユウリ)
あの頃は、メジャーデビューを夢みて…ギター片手にひたすら歌い続けた。
暑くても…
寒くても…。
ずっと傍にいて
応援してくれたのは
優梨だった。
全ての気持ちを、歌に込めて。
遠くから届けるよ…―
今日はバレンタインなのに
傍に居てやれなくて、ゴメンな。