群青の月 〜『Azurite』take00〜
それから暫く
奴は吐いて ――――
その隙に
車に置いてあった毛布を持って来る
それをかけてやると
薄く目を開け、グルンと丸まり
潜ってしまった
その間、一言も話さない
「 苦しいか? 」
そう聞いても、何も返さないし
ただ黙って、丸まっている
…今時の飼い犬や猫は、
つらいとか痛いとか
かなりのリアクションして来るらしいのに
お前話せるんだぜ?と思う
もう少し何か言ってくれないと
どうしようも出来ないだろう…
――― でもさっきの喧嘩
かなりあれは、道理に合ってた
闇雲に、暴れていたわけじゃない
相手がデカイ俺じゃなくて
コイツに、もう少し体力があったなら
部屋は結構な、惨状になってたはずだ
奴の横、床に座って考える
…まずメシ食わせてから
風呂連れて行かないと
―― 親は呼ぼうとは考えなかった
多分、こいつは
どんな事をしても逃げるだろう
あの目を見て、そう思った