群青の月 〜『Azurite』take00〜
・新宿駅前
「 …青山くん
何……?この非通知着信の量 」
――帰り際
階下まで梅川さんを送った
そして初めて、人に、この事を話した
「 竹田さんには話したの? 」
「 いえ
俺の問題の可能性もありますし 」
「 …なんかあったの? 」
「 一時、女性です 」
「 ふぅん
その状況も踏まえてかな
青山くんは、例の
『被り物』は見たんだっけ 」
「 後ろ姿を 」
「 …あれね 君達がこちらに来てから
もう一度来たんだよ 」
「 マジですか 」
「 うん ……手にナイフを持っていた
そしてね
今度は、女だったんだ
それは、捕まえたよ 」
「 なんだそれ…… 」
「 高校生、女の子だったよ
…あずるちゃんの髪を切った先輩
実際は、体育倉庫に閉じ込めて
顔を傷付けようとしたんだけど
あずるちゃんが逃げまくって
頭を何回か、掠った
そして髪を押さえて、
引きずり回した時に
あずるちゃんに腹を蹴られて
床に落ちたナイフをあずるちゃんが拾い
自分で髪を切って逃げたが真相 」
「 …捕まえたんですよね 」
「うん
あずるちゃんの髪の件は別として
家宅侵入未遂だし
ナイフも持ってたから
警察に届けるのが道理なんだけど
またあずるちゃんが絡んでるから
事情聴取は必至だし
しかし彼女、何もしてないのにねえ 」
「 …じゃあこの着信は
その先輩では無いって事ですね 」
「 うん
君達がここに来た、次の日にだから
何なら携帯変える?
多少不便が最初あるけど 」
「 …やめておきます
かからないと解ると来るらしいですから
ストーカー番組とか見ると 」
「 ああ〜 そうだねえ 」
「 来てもここは屋上だし
登れないでしょう 」
「 いやいや おかしくなってる奴は
色々するみたいだよ
用心は、怠らないでいないと 」
「 はい
来たら捕まえますし 」
「 こら!そういう時こそ警察だよ
私は、君の事も大切なんだから 」