群青の月 〜『Azurite』take00〜
屋上に戻ると
三人が、花火の燃えカスを片付けていた
「 ボウズ、まだカレーある? 」
「 あるよ! 」
「 あ、僕も食べたい 」
それぞれシャモジで米を盛り
池上は表に出て、木箱に座って食い
あずるはベットに倒れ込んだかと思うと
俯せのまま、寝息をたてた
「 …某猫型ロボットアニメの
メガネ君かよ 」
真木がそう言い、俺は爆笑した
「 青山、明日はさ
スタジオはいろっか 」
「 OK 」
「 んで、バンド名考えたんだけど
何か青山も案ある? 」
「 考えて無かったな
この前出た時は、何て書いて出したの? 」
「 ボウズ 」
「 そのままかよ
それでいいんじゃない? 」
「 んー あのな
おまえ、青山じゃん 」
「 うん 」
「 んで、俺は、真木空哉
池上は、海平
ボウズは、あずる
全員『青』なんだよな 」
「 "あずる'もか? 」
「 そー Azuru
ペルシャ語で、青って意味
『Azurite』って
宝石あるんだけど、それも青い石 」
「 おお 始めて知った 」
「 しかも伝説だと
歌唄うんだってさ その石 」
「 …なんかピッタリだな 」
「 だろ?
Jemuの書類には『ボウズ』って
書いたけど
そのうちさ、ちゃんと『Azurite』
この名前にしたい 」
「 皆には話した? 」
「 さっきね
ボウズ、なんか感動してたよ
意味ワカンネーって
自分の名前キライだったらしい
池上も『それで行こう』って 」
「 皆も納得済みならいいよ
俺もそれ、気に入った 」
「 成立だな 」
真木は指を組んで、伸びをする
「 やべー… オレ今 すげえ幸せだ
な、何かやろうぜ 」
「 いいよ 」
真木はギターを
俺はベースを取って立ち上がる
池上はそれを見て、
手に持っていた皿とスプーンを
腰に挿していたスティックに変えた