群青の月 〜『Azurite』take00〜





家に着いて

硝子テーブルの上に
あのキュウリを置いてみる

正座をした





―― 外人墓地から、少し上がった高台
明治時代に誰かが作った洋館に
俺は独りで暮らしてる


洋館と言っても、さして大きくはない


西洋文化が入って来て
それ風に建ててみました、と言う感じだ



両開きの玄関があってフロア

奥の左には台所 正面には棚が並んで
右にはテーブルセット

俺がいつも寝ているソファー
レポート等はたいていここでやる


戻って、玄関フロアの右に
短い螺旋階段


上は殆ど倉庫になっているから
あまりそこへは上がらない



ここを借りたキッカケは今のバイト
高1で始めて今、大2だから
もう三年以上になる


大学に入る時、部屋を探していたら
うちのお客さんが格安で
紹介してくれたのだ




天井が高いから、何しろ助かった
意識はしていなかったが
それだけでもストレスがかなり
軽減した気がする


中二からいきなり伸び出して
今、192センチ

…あのカッパは、155センチ前後


だいたい俺の胸の辺りに顔があった


家出か何かしてたのか

―― カッパの家ってどんなのだろう

…聞いた事がない



大学の図書館でも良いけど、妖怪学者、
新俣さんのホームページをみたら
何かわかるだろうか




取り留めも無く、暫くそんな事を考えて



とりあえずこのキュウリは
生で味噌をつけて、食う事にした








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