群青の月 〜『Azurite』take00〜





道路沿いのガードレールに座り

缶コーヒーを買った


車の波に点けられ始めた
ヘッドランプを眺めていると
携帯に着信


それを無視して
もう雑居ビルの、十字路の中




やっとジーンズのポケットに指を挿し
画面を見るが、知らない番号



あまりにしつこいので、
仕事の連絡かも知れないと
取る




「 ―…はい 」



『 あ、申し訳ありません
私駅前で、
ジーンズショップKの
店長をさせて頂いている緑川と申します


ベースをお忘れになられたみたいで
失礼かと思ったのですが
会員カードでお電話番号を
見させて頂きまして… 』




――― 会員?

靴下を買った時に入ってくれと言われ
書いた気もする




「 あ …はい 」



『 あの… もしかして
違ったらマジでスイマセン

……野音で
ベース弾いてた青山くん? 』




「 ………あ  」



『 青山くんなら覚えてないかな?!

俺 ハイパートークってバンドで
あのメガネの、赤池ってドラムと
一緒にいたギター弾き! 』





「 ………蜥蜴の… 」



『 そうそうそう!!
今さ、
俺時間とれるから届けに行くよ

オマエ、今どこにいる? 』









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