群青の月 〜『Azurite』take00〜




風が強くなった屋上
ひとりなんとなく

ベースを弾いた


何時間も経っていたらしくて
テレビの画面が
砂嵐になった音で
気付いた




シャワーを浴びようと
勢いよくシャツを脱いだら

ベットの棚の上の熊に
当たって


椅子から落ちて転がった



―― 拾った時に


熊の腹のポケットから
黒い何かが少しはみ出ていて

何かと思い、取り出したら
それは俺が


あずるに出会った頃に使っていた
ピックだった









「 …何でこんなの入れてんだよ 」と
少し笑い


裏を返すと
蛍光ピンクのマジックで



『 たからもの 』と 書いてあった






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