群青の月 〜『Azurite』take00〜





以前、バイト先で初めて会った時

「 事故ですか 」と聞いたら
好好爺丸出しの顔で

「 腐ったんだよ 」と笑っていた


それから何やかや、
差し入れをくれる様になり
家を貸してくれる事にもなった


彼が注文しに倉庫に入って来ると
空気が一瞬で、ピンと張る


だから
俺が隻腕の理由を聞いた瞬間
周りが固まったのは分かった

なんでも昔、竹田さんは
凄い大親分だったらしい
今は、材木屋をやっている


「 あの白いのはさ、
捕まえときなさいよ 」



「  …はい? 」



「 ああいうのは放っておくと、
知らないうちに
いつのまにか、死んでるぞ 」



そう言って煙を吐き出し、
細めた目が真剣すぎて


笑えない







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