群青の月 〜『Azurite』take00〜
走り出した窓の外に
新宿の高層ビル群
空の闇には
青黒い積乱雲が沸いている
明日は、多分雨
そういえば
あずると、この車でドライブした事
一度も無かったな
あいつに、海とか
夜の街とは違う景色を
見せてやりたかった
水族館とか、プラネタリウムとか
―― ラジオから
ちょうど四年位前に流行った
UKロックの曲が流れて来て
時間がズレたみたいな
おかしな感覚になる
「 …今の時間なら
もしかしたら電車よりも
早くつくかもしれないな
帰り、ベース忘れない様にしないと 」
「 はっ!!そうだ!!!」
ユカちゃんは、
あずると、持っている空気が全然違い
幸せな家のにおいがある
「 で、でも
青山さんだって、更衣室に
ベース忘れたって聞きましたよ?! 」
「緑くんか
…あれはねえ
本当の事、言っちゃうと
捨てたんだ 」
「 ………え?! 」
―― なんとなく、昔話を始めてしまった