群青の月 〜『Azurite』take00〜
「 その時は緑くんが
わざわざ会員証、調べて
電話かけて来て
そこから彼とは親しくなった
それ入れて、三回かな、
人にあげたり置いて来たんだけど
毎回、俺の所に戻って来た
それで
『これは、
弾けって事なのかなあ…』ってさ 」
「 そ!そうですよ!
だから『彼』にも会えたし! 」
「 …君も、『彼』にベース
助けてもらったしね 」
「 …あ…… はい…… 」
「 そう思って弾くのも
いいんじゃないかな 」
「 ……はい… 」
「 ユカちゃんは、泣き上戸? 」
「 …ぜ…!!全然なんです…
どっちかっていうと笑い上戸で…
やっぱり今日…へんなんです… 」
「 そこ 開けて 」
「 え? 」
「 ユカちゃんの眼の前の
車のボックス 」
「 は、はい! 」
ガコンと、
眼の前の引き出しを開いた
「 地図の上に、袋あるでしょ
それあげる 」
ガサガサと
コンビニ袋を開けて
その中から棒キャンディーを選び
ユカちゃんは せつなそうに、
窓の外を見つめている
――"十代の恋は偽物"なんて
言う奴もいるけど
じゃあ何が本物なんだ、と
最近、思う