群青の月 〜『Azurite』take00〜
声が低くなったのが
自分でも判った
「 ………あの…
『彼女』の演奏終わって…
私、『彼』を『彼女』に
逢わせようと思って… 」
「 …だから手引っ張って
走って行ったのか 」
「 …はい
それで、…ちょっと色々あって
そんな時に、
周りでバタバタ凄い音がして
『Azurite』を
追い掛けてる音がして 」
「 …ライヴハウスの中からも
かなりの人間、追い掛けて行ったよ 」
「……それで
見付けたんですけど
『彼女』追い込まれてて
捕まる!って時に
男の人が出て来たんですよ
その人に匿われるみたいにして
姿消しました
なんか…ガードマンとって感じには
全然見えなかったから… 」
「 …どんな奴? 」
「 うんと…黒い帽子と服で…
顔はわかんなかったですけど
背は『彼女』より少し高い位
多分、青山さんより低いです 」
「 ……ミュージシャンぽくて
ちょっと『彼』に感じ似てたりした? 」
―― ミズタニ
「 え、いえ
全然違うタイプでしたよ?
腕とか、マッチョじゃないけど
筋肉ついてて…
ストリート系と言うかB系と言うか… 」
「 …じゃあ多分、違うな 」
ホッとした
あいつはやはり、昔があるから心配だ
「 ……青山さん
本当は、すごく『Azurite』の事、
知ってるんじゃ…… 」
「 …… 」
「 …教えてくれないと
さらわれるーー!!って
叫びますよ…? 」
「 その前に降ろすよ 」
「 !! 」
「 俺、普通に降ろすから。
次のインターで放置しようか 」
ニッコリ笑った