群青の月 〜『Azurite』take00〜
インターが近付き
ウィンカーを点滅させてIN
ユカちゃんが
トイレに行って出てくる
売店の所で手招きした
「 何食べる?
俺は焼きそば食うけど 」
「 ジャガ芋クン!! 」
「 後は? 飲む物も 」
「 チョコサンデーとメロンソーダ
あ、鯛焼きだ
どうしよう 」
「 全部頼んじゃえ
余ったら、家で食べればいいし 」
―― ふと
あずるには『一個』と
念を押していた事を思い出した
そうするとすぐに悪党顔して
…でもすぐに、笑った
「 妹さん? 」
売店の、五十代位の男性が
カウンターに肘をかけて、聞いて来る
「 そうなんです 」と答えた
「 …ユカちゃん
車で、ロックして待ってて 」
「 はい 」
車に戻る
「 鯛焼き二個、オマケしてくれたよ 」
「 おじさんいい人!! 」
助手席に、簡易テーブル出して
色々並べた
そんな俺を見て
ユカちゃんが、質問してくる
「 ……やっぱり私
子供ですか……? 」
「 そこが
いいとこなんじゃないの? 」
「 ………でも
なんか皆…大人で
高い所に飛んで行ってる感じで…
『Azurite』なんか
その頂点って言うか… 」
少し、窓を開け
煙草を吸う
そして言った
「 …1番飛びたがっていたのは
『アズ』だよ 」
「 ……今は飛んでるじゃないですか… 」
「 羽根があっても
飛ぶ意志が無ければ飛べない
…その意志を持つ為の何かを
あいつは誰かに、貰ったんだと思う 」
「 …意志 」
「 うん 」
「 …なんか難しい…… 」
「 あはは
焦る必要ないと思うよ
…俺もやっと飛べる 」
そう言って俺は 車を出した