群青の月 〜『Azurite』take00〜
ねえ 青山さん
ん?
もし
『Azurite』が居なかったら
私達、今どうしてたのかな
…会ってないんじゃないかな
…やっぱりそっかな…
少なくとも、今日、
あのライヴハウスでは
会ってなかったかもしれない
…うん
そして
君と彼を会わせてくれたのは
その空色のベースでしょ
うん。 みんなに
青山さんにも会えた
これから心の中で
『ししょー』と呼ぶ事にするよ
心の中だけかよ
…だって青山さん
赤池さんも、緑川さんも
……『彼』も
飛んで行くよ
もう会えない
飛んで来ればいいんじゃない?
…楽器は好きだけど
なんかマキちゃんや
あそこで出会った皆とは
やっぱり私、何か、違う気がするんだ
きっと『彼』に会いたい
それだけで
何もないもん
でもさ
うん
想像してみな
皆がバンドやって、歌って
楽器弾いてる所で
ただ黙って
ニコニコしてられる?
……………。
弾きたくならない?
……なった。
無茶苦茶悔しい…
それはもうね
ミュージシャンって事なんだよ
ししょー。
はいはい
本当は
『Azurite』の事
好きだったでしょ
…今も好きだよ
やっぱりそうか…
多分、一生
…コンパスやられちゃったんだね
やられちゃったねえ
…もし『彼女』が
ししょーに、縋り付いて
好きって言って来たら
ししょーは、どうする?
…考えるだけで怖いな
なんで?
縋り付いては来ないとしても
それが自分で
相手が『彼』だって、想像してみ
………。
怖くなったろ?
………うん。