群青の月 〜『Azurite』take00〜
横に長い間 平走していた
灰色の壁が消えて
夜の海が見えた
でかい公道に沿った
海水浴場
右向こうの急行駅
その白を、まだあかりが照らしている
昔ここに
泳ぎに来た事があると
ユカちゃんに話すと
少し地元ネタを
賑やかに話してくれた
道沿いには、サーファーショップ
まだ二人の間に距離がある
金髪の恋人達が
座って何か話をしてる
しばらく走ると
"うちの方に向かう道路は
こっちです"と指し示す
そんなやり取りが何回かあって
小さな商店街の、駅が見えた
虫除けの、青いランプが着いたコンビニ
「 あそこでいいです
うちの方入っちゃうと
一方通行で
かなり回って、通りに出ないと
いけないから 」
「 OK 」
コンビニの駐車場に
ゆっくり車を入れる
停車してから先に降り
後ろのドアから
ベースと荷物を降ろした
「 …ありがとうございました 」
「 こちらこそ
…昔話に付き合ってくれて 」
軽く伸びをする俺の顔をみて
ユカちゃんは少し
今までとは、違う顔をした
… あずるの事を考えていたからな
けれどこの子も
朝見た時とは、だいぶ変わった
――『あずる』がたまにする
まっすぐな目を、した時みたいに