群青の月 〜『Azurite』take00〜







――― バン!と

開いた扉の風圧
白い画面で一斉に視界と音が埋まった


少しして、それが降りて行き


笑い声に変わった






「 …おせえんだよ!
部屋入れねえから
皆で宴会、始めちゃったぞ! 」




「 …真木 」



「 七輪あったから、
スルメ焼いてるよ〜 」




「 ……池上…? 」


「 待って待って!
マヨネーズは?

飲み物、コーラ欲しい 」


「 うっほっほっ
七味も欲しいねえ 」



「 赤池!笑ってないで
ビール取って! 」


「 …アズ 俺のビールも 」


「 灰谷くんって幾つ? 」


「 …ハタチ 」



「 嘘ついてんじゃねえよお前は! 」






―― はためくシーツの隙間から


白い、指が見えた



笑う口元と
靴は、白いスニーカー


……501のジーンズ



随分伸びた
ウェーブする、薄い色の髪は
洗濯物の波と一緒に、風と流れてる



そして、俺の姿を見て
そのラムネ瓶みたいな目を
俺に



―― まっすぐに向けた





「 ……あずる 」



「 ――― はい 」







  俺は無意識に、両手を拡げていた




横濱の屋敷でただ
こいつを抱いて眠った、あの時の様に










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