群青の月 〜『Azurite』take00〜
キッチンの椅子に座ったまま
いつの間にか眠っていた俺の肩に
見覚えが無い、
大きなタオルケットがかかってる
…竹田さんが
上から持って来てくれたんだな
いつの間にか、俺の手にも包帯
気がつかなかった
奴を診察していた医者は
ソロリと部屋から出て来て
少し考え込む様な顔をしている
「 …何か、ありましたか 」
「 あ、ああ
いやね… 酷い栄養失調なもんだから 」
「 なんか
キュウリばっかり食べてましたよ
あいつ 」
「 …いや、
つい最近の食事云々じゃなくてね
もっと根本的な…身体が育ってないんだ
そのせいで、不整脈もある
年を聞いたら、もうすぐ16と言うし」
「 ……嘘でしょう?
俺、中学生だとばかり 」
「 とにかくゆっくり、栄養と
安心出来る場所が必要だね 」
「ここに居させます 俺がやります 」
即座に、そう返答していた
竹田さんは、俺をポンと叩き
「 少し用事があるので行くよ
食事は届けさせるから
当分、外には出るなよ 」
それがあった ―――
「 竹田さん、俺
必要があるなら、出頭しますから 」
「 …必要無い
全て私が、キチンとしてやる
青山君は、あの子の事だけ考えてなさい 」
そう言い終わった後の顔は
もう、好好爺の
『竹田さん』に戻っていて
外で、軽くクラクションが鳴ると
ドアを開けて、出て行った