群青の月 〜『Azurite』take00〜
天に月、地には…
「 待って待って! 帰らないで 」
ライヴハウスの花村さんが
早々に荷物を纏めて
地上の出口に向かう俺達を
追い掛けて来た
「 あの、再来週の日曜の夜
開いてるかな
月末、近いんだけど 」
ドラムスの池上は
「 …特に用事は無いです 」
真木も携帯を見て
「 ないでっす! 」
俺とあずるは、黙って頷く
それを見て花村さんが、話を続ける
「 うちで毎回、
お客呼べる子達だけ集めてね
業界用に、ライヴやるのよ
ちょっとイレギュラーだけど
周りも、
君らの演奏見れば、納得すると思う
…出、 出る? 」
俺は腕を組み、笑ってOKを出し
池上は、丸坊主の頭を揺らす
真木は、少し紅潮した顔で
「 宜しくお願いしまっす!」と頭を下げ
それを見て、
あずるも一緒に、頭を下げた
「 よかった!それじゃさ
一回事務所来てくれるかな
書類が、何枚かあってさ 」
ウーッス!!と、一斉に声を挙げる
元来たライヴハウスの入口に向かって
連なって歩き出す
階段を下ると『先に行ってて』と
花村さんが、トイレの方へ
俺達は、控室の前を回って
事務所に向かおうとした暗い廊下で
―――― 突然何かが
俺達の前に、降って来た