群青の月 〜『Azurite』take00〜




映画の看板が並ぶ広場から
右へ進むと、歩行者天国


道が少し拡がって、両端には商店街



大型家電の量販店

ゲーセン、寿司屋
ドラッグストア
貴金属店
たくさんの飲食店



そんな中に、
ギターを少し道の表に出して
エプロンをしている、楽器屋の店員





中に入ると、急に静かになって
たまに試し弾きのギターの音がするだけ


客は皆、腰を落として見入るか
雑誌コーナーでページをめくっている



表のワゴンに、玩具のギターがあって
真木が弾いて遊び
池上は早速
ドラムコーナーに行ったようだ



あずるはいつの間にか横に来ていて
バイオリンが並べられている棚を見ている




"御自由にお弾き下さい"とあったので
それを取って、弾いてみた



それを見ているあずるの顔が
違う人間を見てるみたいな表情で
可愛いし、おかしい



渡して見る



「 この黒い所を、顎の下 」


「 こう? 」



「 うん  弓をね、水平にして 」



――― 音が出た



「 でた! 」


「 後は練習
俺は何年もやってないけど 」




「 おおおお! ―― お 」




あずるが振り返ると
そこにはニコニコとした、
男子高校生が、独り




「 ――― …矢野?! 」




知り合いの様だ






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