群青の月 〜『Azurite』take00〜
渋谷駅に着き、改札を上がる
ホームに立つと
向かいには、広告看板が並んでいる
真木が
「 あそこにすぐ、オレ達のCDの広告がさ
ズラーッと、貼られるんだぜ 」
両手を拡げながら言う
想像してみた
竹田さんがスーツなんて言うから
俺は次元みたいな帽子を被り
煙草をくわえ、ベースを持って
左に立ってる
横にはサングラスをかけて
やっぱり坊主頭の池上が
くたびれたランニングを着て
怠そうに立ってる
右には真木が
真っ赤なシャツを着ていて
少し後ろ体重気味
ポケットに手を入れながら
顎をあげて斜め気味に下を向いている
そして、真ん中には、あずる
…何故かボウズ頭では無く
真ん中から分かれた
綺麗な淡いウェーブの長い髪
服は、竹田さんがくれた
あの丸く襟の開いた
膝上丈の、白いワンピース
強い風が右から吹いていて
髪も服も、左に靡いている
そして
あの強い目が浮かびかけた時
電車が入って来て
向こうの看板が
隠れてしまった