群青の月 〜『Azurite』take00〜




渋谷駅に着き、改札を上がる

ホームに立つと
向かいには、広告看板が並んでいる



真木が
「 あそこにすぐ、オレ達のCDの広告がさ

ズラーッと、貼られるんだぜ 」


両手を拡げながら言う



想像してみた



竹田さんがスーツなんて言うから
俺は次元みたいな帽子を被り
煙草をくわえ、ベースを持って
左に立ってる


横にはサングラスをかけて
やっぱり坊主頭の池上が
くたびれたランニングを着て
怠そうに立ってる


右には真木が
真っ赤なシャツを着ていて
少し後ろ体重気味


ポケットに手を入れながら
顎をあげて斜め気味に下を向いている




そして、真ん中には、あずる



…何故かボウズ頭では無く
真ん中から分かれた
綺麗な淡いウェーブの長い髪


服は、竹田さんがくれた
あの丸く襟の開いた
膝上丈の、白いワンピース


強い風が右から吹いていて
髪も服も、左に靡いている




そして
あの強い目が浮かびかけた時


電車が入って来て
向こうの看板が



隠れてしまった









< 94 / 262 >

この作品をシェア

pagetop