群青の月 〜『Azurite』take00〜
磁力
「 ………う…わあ 」
吐く様な息を漏らして
池上が、空間を見上げる
屋上には昼間
シャツやらたくさん、洗濯物を干した
夜空には、満月
その下で風に吹かれて
よく乾いているシーツ
「 ずるいよ青山くん!
僕、こういう所で暮らすの
夢だったんだ!
"傷だらけの天使達"とか知らない?! 」
「 名前と少しはわかるけど
詳しくは 」
「 …ヤバイ
明日、トマト買って来ないと… 」
「 トマトあるよ 」
部屋のドアを開けながら
あずるがそう言うと
池上は、目を見開きながら、振り向いた
「 あ…明日!昼間が良いんだ!
青空の下で、木箱をテーブルにして
塩かけて食べる! 」
あずるはケラケラ笑いながら
わかったー!と返事
暫くすると部屋から
"G線上のアリア"が流れて来た
あずるが、ラジオをつけたらしい
真木は洗濯物の下
コンクリートに大の字になって
ぼーっと、夜空を見つめている
「 ……ここは
天上のエクレシアだな 」
「 教会? 」
「 そう
"…そこは音楽に満たされ
青い宝石で、壁が埋め尽くされていました"
あと、…なんだっけな 」
あずるは扉の前
俺は、真木の横に座り
池上は木箱で
ゆっくりリズムを刻み
暫くそうして、風に吹かれていた