群青の月 〜『Azurite』take00〜








翌朝

日が明け切る前に
真木がギターを持って来ると
屋上を、飛び出した



奴の実家は千葉なのだが
大学近くにイベント仲間と共同で
事務所に部屋を借りており

最近は常駐しているから
そこに多分、愛用のレスポールがある



ドラムは、池上が木箱を並べて作り
満足そうに眺めていた


しかしスティックが流石に欲しいと
10時を待って、外に走る





あずるは
木箱を漁っていた時
小さな人形用の椅子をみつけた


ベットの棚に、椅子を起き
ピンクのハンドタオルをひいて
『ターミネー熊』を座らせている


横には、少し畳まれた洗濯物



「 シーツ、入れてくるか 」


「 あ!だめなの! 」



「どうしたの?」


「 池上さんはきっと
洗濯物の下で弾きたいと思います! 」



そう、挙手をして訴える



「 ……確かに 」



あずるの頭を、くしゃくしゃと撫で

ソファ前のテーブルを見ると

水滴のついた、真っ赤なトマトが四つと
赤い蓋の塩が、きちんと用意されていた






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