雪だるま
――だいたい1時間後。
私の手は赤くなっていた。
たぶん、冷たいものをずっと触っていたからだと思う。
心臓がなんだか苦しい。息も乱れてる。
病気、悪くなっちゃったかな……。
けど。
私の目の前には雪だるまがある。
私の顔と同じくらいのからだをした雪だるま。
帽子も目も手もない雪だるま。
結局、雪があんまりくっつかなかったし、バケツを帽子がわりにするにはこの雪だるまはちっちゃすぎる。
けど、雪だるまは雪だるまだ。
私はじっと雪だるまを見つめていた。
――よく見えなかった。
なんだか視界がぼやけてきてる。
頭がふらふらしてきてる。
遠くでお医者さんが大声を出しているのが聞こえる。ちょっと遠すぎて何を言っているかわからない。
誰かが私の肩を抱く。
沢山の人がまわりにいるみたい。喋っている人の声が少し聞こえた。
「こんなに死の灰に触ってしまって……。早くあっちゃんに放射能防護服を! 早くしないと手遅れになる」
私は雪だるましか見ていなかった。
私は咳き込んだ。
引っかかるような、壊れているかのような咳き込み方。
雪だるまに目ができた。
それは私の血だった。
私の手は赤くなっていた。
たぶん、冷たいものをずっと触っていたからだと思う。
心臓がなんだか苦しい。息も乱れてる。
病気、悪くなっちゃったかな……。
けど。
私の目の前には雪だるまがある。
私の顔と同じくらいのからだをした雪だるま。
帽子も目も手もない雪だるま。
結局、雪があんまりくっつかなかったし、バケツを帽子がわりにするにはこの雪だるまはちっちゃすぎる。
けど、雪だるまは雪だるまだ。
私はじっと雪だるまを見つめていた。
――よく見えなかった。
なんだか視界がぼやけてきてる。
頭がふらふらしてきてる。
遠くでお医者さんが大声を出しているのが聞こえる。ちょっと遠すぎて何を言っているかわからない。
誰かが私の肩を抱く。
沢山の人がまわりにいるみたい。喋っている人の声が少し聞こえた。
「こんなに死の灰に触ってしまって……。早くあっちゃんに放射能防護服を! 早くしないと手遅れになる」
私は雪だるましか見ていなかった。
私は咳き込んだ。
引っかかるような、壊れているかのような咳き込み方。
雪だるまに目ができた。
それは私の血だった。