劇場版 乙女戦隊 月影
「え!」

光の輪は、消えると同時に、どどめ色の戦隊服に亀裂が入り、血が噴き出すと、どどめ色は倒れた。

「つ、強い…」

変身が解け、どどめ色は加奈子に戻った。

「伊達に、てめえらの戦いを端で見てた訳じゃねえよ。てめえの攻撃パターンくらいよめるぜ」

蒔絵の余裕の態度に、どどめ色は納得した。

「なるほどね…。逆に、こっちは…あんたの戦い方を知らない…ククク…」

加奈子は、楽しそうに笑った。

そんな加奈子を訝しげに見つめるグリーンに、

加奈子はあるものを手に取り、示した。

それは、黒いサングラスだった。


「そ、それは?」

蒔絵は異様な妖気を、サングラスから感じていた。


「仕方がないわ…。こちらも奥の手を使うしかないわね」

加奈子は、サングラスをかけた。





「いけない!」

反対側の屋根のある階段を降りながら、下っぱを背負い投げにした九鬼は、舞台下の芝生を挟んで、対峙している2人に気づいた。

「あの力は、危険だ」

九鬼は、階段を飛び降りる如く、走り出した。




「闇の力…思い知るがよいわ」

サングラスをかけた瞬間、色が濃いために見えないはずの眼球が、赤く輝いたのが、わかった。

「闇の女神…災禍(サイカ)の力を知れ!」

鱗のような鎧が、全身を包むと、巨大な蝙蝠の羽を広げて、災禍は空中に飛び上がると、グリーンに向けて、両手を突きだした。

その手のひらで、空間が圧縮されていく。

圧縮された空間は、球体のようになると、周りの光を取り込み始めた。


「ブラックホール…アタック!」


「ブラックホール!」

グリーンは絶句した。

その技は、光線技主体のグリーンには天敵だった。

「チッ!」

グリーンは舌打ちした。



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