劇場版 乙女戦隊 月影
「呆気ない…」

プラチナは首を回すと、ゆっくりと九鬼のもとへと歩いていく。

「貴様に、月影を名乗る資格はない。この地で、死ぬがよいわ」

厚化粧のおかまのような顔を歪めて、プラチナが含み笑いを浮かべた。


「九鬼!」

先程の九鬼の落下の衝撃音を聞いて、夏希と蒔絵…そして、蘭花が走ってきた。

「フン!中途半端の次は、出来損ないか!」

プラチナは、九鬼の前に立つ3人を見つめ、

「折角の獲物だ。乙女ケース!頂くぞ!」



「あたし達を舐めるな!」

夏希はプラチナにすごんだ後、後ろにいる蘭花に顔を向け、

「黒谷さん!危ないから、下がって!」

「フッ」

その言葉に、蘭花は笑った。

夏希はまだ…蘭花の正体を知らない。

蘭花は大人しく下がると、衝撃で出来た穴の中にいる九鬼の方に体を向けた。



「装着!」

珍しくやる気のある蒔絵も、夏希とともに変身する。

そして、

「乙女ビーム!」

「乙女スタンガンマックス!」

至近距離からのビームの直撃と、スタンガンの電撃を受けるプラチナ。

しかし!

「クズどもが!」

プラチナは、気合いで跳ね返した。

「きゃあ!」

ふっ飛ぶ2人。

その時、プラチナのこめかみに、何かが当たった。

「うん?」

プラチナの眼鏡がスコープになり、遠くの方でこちらに、銃口を向けている乙女ピンクをとらえた。

また銃弾が、プラチナの眼鏡に当たった。しかし、プラチナは微動だにしない。

「蠅が五月蝿いわ!」

プラチナの手から、光の糸が飛び出すと、数十メートル離れた岩陰から、乙女ライフルで狙撃していたピンクが、いぶりだされた。

「乙女念動力!」

ピンクの体が中に舞うと、まるで釣竿で釣られた魚のように、倒れているブルー達のそばに引き寄せられた。

「ハハハ!これで、三匹!今日は、大漁だ!」

高笑いをするプラチナの前で、立ち上がった三人は、各々の乙女ケースを突きだした。

「兵装!」

乙女ケースが武器に変わる。

「乙女青竜刀!」

「乙女ミサイル!」

「乙女キャノン!」

三人は武装した。

< 69 / 106 >

この作品をシェア

pagetop