劇場版 乙女戦隊 月影
ブラックの絶叫が、夜の奈良公園にこだました。




「うん?」

ダイヤモンドの拳は、ブラックに決まってはいなかった。

「ブルー!」

青竜刀を盾にして、ブラックとダイヤモンドの間に割って入ったブルーは、ダイヤモンドを睨み付けながら、

「黒谷さん…あなたはまだ…戦いに慣れていないわ。ここは…あたしに…」

青竜刀は折れたが、ブルーは別の武器を取り出した。

「乙女スプレー!」

催涙ガスを煙幕にすると、ブルーはブラックの手を引いて、駆け出した。

「おのれ!ちょこざいな!」




「ブルー!」

ブラックは、ブルーに声をかけた。

「わ、わかってる!逃げられないって!だからこそ!」

ブルーが、ブラックとともに走りながら、来たところは…。

「だからこそ!あんたが、必要なの!」

十字架の下。

「里奈!」

ブルーは、十字架に磔にされた里奈に向かって、叫んだ。

しかし、気を失っている里奈は答えることはなかった。

十字架の上で、輝く月もまた、

ただあるだけで、ただ…無言であった。
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