劇場版 乙女戦隊 月影
「ははは!お前にスピード!そして、わたしには…強大な力と防御力!月の力を得て、無限とも言われる活動時間を要する乙女ガーディアン!互いに、戦えば…時などすぐに過ぎるわ!」

ダイヤモンドの美しい宝石のような戦闘服が、ムーンエナジーを補充すると、きらきらと星空のように輝いた。

「乙女シルバー…いや!生徒会長九鬼真弓よ!わたしと、無限に戦う覚悟はあるのか?」

いやらしく笑いながらきくダイヤモンドに、

シルバーは肩をすくめ、

「ご冗談を!修学旅行は、二泊三日しかないのよ。そんな暇はないわ。それに…」

今度は、九鬼が笑いかけた。

「本当のようね…見えないのは…。お陰で、助かったわ」

シルバーは、後ろで倒れているブラックとブルーに、振り向かずに叫んだ。

「ブラック!ブルー!彼女を頼む」

シルバーの言葉に呼応したように、

十字架にかけられていた里奈の手枷や足枷が切れた。

「き、貴様!いつのまに!」

ダイヤモンドは、後ろを見た。

十字架から自由になり、落ちる里奈に向かって、ブラックとブルーが走る。


「させるか!」

邪魔をしょうとするダイヤモンドの前を、シルバーが塞いだ。

「いかせない!」

シルバーとダイヤモンドは、組み合うことになる。


「言ったはずだ!パワーでは、上だと!」

ダイヤモンドは力任せに、シルバーをねじ伏せようとする。

何とか踏ん張り、シルバーとダイヤモンドの居場所が入れかわる。

しばらく踏ん張っていたが、シルバーは力負けし、腰を落とした。

「このまま!押し潰してやろうか!」

ダイヤモンドが力を込めたその時、

シルバーは逆に力を抜いた。

抵抗を受けていた体が、思いがけない出来事に、勢い余って、前のめりになる。

バランスを崩したダイヤモンドの腹に右足を置くと、シルバーは力の流れに逆らうことなく、ダイヤモンドを投げた。

それは、巴投げに近かった。

投げられ、背中から地面に激突したダイヤモンドに対して、間髪をいれずに、飛んだシルバーは…落下しながら、膝をダイヤモンドの戦闘服の硬さが、薄い首筋に叩き込んだ。

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