劇場版 乙女戦隊 月影
「里奈!」

ブルーが、十字架から落ちた里奈をキャッチした。

体を揺すっても、里奈は起きない。

「任して」

ブラックは、里奈の後ろに回り、両肩を握ると、気合いを入れた。




「大人しくしてもらうわよ!」

膝を叩き込んでから、シルバーは足を首に絡めると、ダイヤモンドに関節技を決めた。

「な、なんの時間稼ぎだ?例え、里奈が気づいたところで…何も変わらんわ!」

ダイヤモンドは首を絞められながら、せせら笑った。

「他の2人は、わたしが倒した!里奈が加わったからといって、現状は変わらんぞ!」


「そうかしら?」

シルバーは、足に力をいれながら、

「あなたは、乙女の底力を知らない…。それにね…」

シルバーは、公園の真ん中を流れる川の方を見た。

「まだ…誰も、倒されてなんていないわ」


「何!?」





「ううう…」

まるで…数週間、眠りについていたような感覚の中、あたしは目覚めた。

「京都にいかなくちゃ〜」

まだ頭がはっきりとしない。

「里奈!」

ブルーが抱き付いて来た。

嬉しさからか…あたしを思い切り、抱き締めた。

乙女ソルジャーに変身しているから、尋常ではない力で、ぎゅっとされた為、余りの痛みに、あたしははっきりと意識を取り戻した。

「ブルー!ギブ!」

「あっ!ごめん!」

ヒロインなのに、あたしはもう少しで、泡を吹いて…二度目のフェイドアウトになるところだった。

ぜいぜいと息をしながら、あたしは後ろにいるブラックに言った。

「九鬼も止めてよね!こいつ、加減を知らないからさ」

振り返ったあたしは、首を捻った。

「九鬼?」

後ろにいる乙女ブラックは、スレンダーな九鬼と違って、少し丸みがあった。

あたしが首を傾げていると、少し離れたところから、九鬼の声がした。

「里奈!変身して、乙女レッドに!」


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