恋するOL!戦うOL!
そして、それだけで終わらず・・・

それから次々と同じようなことがあって・・・


帰りは雨だった。

「残業しなきゃ雨降ってなかったのに。」

今日は一日いい天気だった・・・。

会社から駅までたった5分。

でも・・・濡れるなあ~
買ったばかりのサンダル・・・今日おろしたばかりなのに・・・
恨めしそうに空を見上げたって雨がやむわけもない。

「帰るしかないか・・・。」

そう一歩踏み出そうとした時、
隣からスッと傘が差し出されたのだった。

「一也・・・。」

「残業?」

「うん。ちょっと時間かかっちゃた。」

「俺、直帰するつもりが会社に忘れ物あってさっき戻ったんだ。事務所に居なかったけど?」

「うん。明日の会議の資料作ってから会議室セッティングしてたの。」

「薫子さん出張だもんな。」

そう、だから誰も手伝ってくれない。

「駅まで入ってくだろ?」

一也は広げた傘を私の方に差しかけた。

「え・・・だって・・・。」

私たち別れたのに・・・。

「同じ方に行くんだからこれって普通の同僚として当たり前。」

今はただの同僚・・・

「そ、そうだね。ありがとう。」

素直にその言葉に従った。

たった5分の駅までの道――

一也の隣で・・・肩と肩が触れ合う距離で・・・

一也の体温がわかる距離で・・・


ドキドキしてた。


雨の匂いと一也の匂い・・・


何も考えない・・・考えちゃいけない。

でも、自分の全神経が一也に集中してる感じ。

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