甘い秘密 ~sweets~
「ただいまぁ~」

私は朝とはうって変わって上機嫌で家へと帰ってきた。


お兄ちゃんのキスの事なんて、すっかり忘れていた。

けど…

ガチャ…とリビングのドアを開けると、ダイニングテーブルにはお兄ちゃんと、晴香さんの姿…。


その瞬間…

昨夜の出来事を思い出してしまった。


う゛う゛…っっ

せっかく谷川先輩と食事して幸せな気分で帰ってきたのにっ

「あら、おかえりみく。ご飯は?」

お母さんがそう尋ねてきた。

「食べてきた…」

「も~っ。
食べてくるんなら先に言ってくれればいいのに。」

「ごめん…。」

お父さんはすでにリビングのソファーに座り、テレビを観ながらビールを飲んでいた。

「晴香ちゃん、今日泊まっていくそうだから、みく、あんたのパジャマ貸してあげなさい。」

「えっ!?私の?」

お母さんの言葉に思わず驚いたような声を出してしまった。

「そうよ。お母さんのなんておばさんくさくて晴香ちゃんも嫌だろうし。」

え…

何でかよくわかんないんだけど、なんか…なんかやだ…。

着替えないなら帰ればいいじゃん。

「ごめんね、みくちゃん。」

晴香さんは、笑みを浮かべてそう言った。

私もそんな晴香さんに負けじと満面の笑みを浮かべた。


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