甘い秘密 ~sweets~
やがて、谷川先輩は丸いトレーに紅茶の入ったカップと、クッキーを乗せて部屋に入ってきた。

「ごめんね、大した物がなくて。」

「いえ…。」

「…?どうしたの?何か大人しいね。」
「だって、谷川先輩の家、おっきいし、何か緊張しちゃって…―」

そう言い、まだ熱いカップに口をつけた。

ダージリンの良い香りが漂う。

「何言ってんの。そんな緊張しなくてもいいよ。
あ、CD聞く?」

「はい。」

先輩は、MDコンポの電源を入れた。

流れてくるのはちょっと切ないラブバラード。

紅茶のおかげか、部屋に流れる音楽のおかげか、私の緊張はいつのまにかすっかり解け、先輩との2人きりの時間を楽しんでいた。


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