Happy garden.【短編】
砂利道を10メートルほど歩けば、ベンチのそばに目当てのごみ箱を見つけ、早足でそこに向かった。
たどり着くなり、包みをもった手をのばして、ごみ箱の上にやる。
「おせちを作って、重い女で悪かったわねー!!」
すうっと息を吸い込むと、どうせ誰もいないんだから、と心にたまったうっ憤を震える喉にのせて発散する。
「一緒にお正月らしいことしたいと思って、どこが変なの。結婚考えちゃ、いけないの!?」
ああ、ダメだ。
瞳はもう限界かもしれない。
まつげが濡れる。
「おまえは21歳でも、わたしは25歳なんだ。結婚してる友達だっている。結婚してもおかしくない歳だってんだー!!!」
でも、こうして叫びながら気づいたことがある。
わたしは彼のことを好きじゃなかったんだ。
悲しいんじゃなく、悔しさから涙がにじむ。
脳裏には、30分前に別れたばかりの、整った顔が思い浮んだ。