Happy garden.【短編】

てっきり缶のビールかチューハイをもってくると思ってたわたしは、目を見開いて、ドンッとテーブルに瓶が置かれる様を見ていた。


誠司さんは重そうな瓶を片手で器用に傾けて、グラスに注いだ。


「はい」


「へ?」


並々に透明な液体の入ったグラスを差し出された。


それが何を意味するのかわかり、すぐさま首と手を大きく横に振る。


「わたし、日本酒なんて飲めないよ」


お正月の御とそが大嫌いなせいもあってか、日本酒を飲んでみようなんて思ったことすらなかった。


普段飲むのはチューハイやカクテル、それも甘くてジュースみたいなやつだ。


アルコールの味がすると顔をしかめてしまうほど、苦手だった。


「まぁ、まぁ。そう言わんと、一杯だけでも付き合ってや」


グラスを押しつけられ、中身がこぼれそうになったものだから、とっさに受け取ってしまう。


そのグラスと誠司さんの顔を交互に見る。


にっこり笑った誠司さんに負けて、仕方なく飲むことにした。

< 22 / 78 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop