Happy garden.【短編】
どこかから聞こえた声にびっくりして、あんなに重たかったはずのまぶたが開いた。
ぼやけた視界が広がる。
次第に、輪郭を形作り、すぐ前に男の顔があらわれた。
しかし、頭の中には霞がかかったような状態で、思考が定まらない。
自分の状況がのみこめないまま、なんとなく、その頬に手を伸ばした。
ザラリとした感触を指先に感じ、一気に頭が覚醒する。
「な、なんで!?」
ベッドに手をついて体を起こし、隣で寝ている男を見下ろした。
男もまだ完全に起ききってないようで、「うーん」とうなりながら、目を擦っていた。
この人は――誠司さんだ。
昨日の記憶とその顔が一致する。
一緒におせちを食べて、勧められるままにお酒を飲んで――そこまでしか覚えてない。
寝てしまったの?
部屋の様子をうかがうと、電灯はついてないのに窓から差し込む光で部屋は明るい。