Happy garden.【短編】

しかし、その前に、どこからかパチパチと拍手の音が聞こえてきた。


「え?」


一瞬、自分の耳が変になったかと思った。


(なんで、拍手?)


音の発生源を探そうと、あたりを見る。


拍手の音はすぐに止んだので、どこからかよくわからない。



前方にも左右にも誰もいなくて、益々混乱しかけたとき、声がした。



「えらい意気込やね。思わず、応援したくなるやん」


関西かどこかの独特のイントネーションをもつその声は低く、それでいてどこか甘い。


ずっと聞いていたくなる。


それが後ろからだと気づいて、振り返った。



そこにいたのは、長身の男性。


グレーのジャンパーに、黒のパンツ、黒の靴。


髪は短い黒。


ニッと笑いながら、近づいてくる。

< 4 / 78 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop