Happy garden.【短編】
暗い闇がわたしを包む。
わたしの心にも闇が落ちた。
何を期待していたんだろうか。
彼がドアの外でわたしを待ってくれているんじゃないか、なんて夢のまた夢だ。
そもそも、現実的に考えて、19時になったばかりの今の時間に、誠司さんは帰ってきていない。
駅から自宅への帰り際に弁当箱を返しに寄ってくれていたときも、時刻は20時から22時の間だった。
残業の多い仕事なんだろう。
ほどなくして着いたスーパーでは、米5キロと鮭の切り身のしょうゆ漬け、豆腐を買った。
時間が遅いので、本格的な買いだしは明日にして、今日は必要最低限の晩ごはんの材料だけ。
しょうゆ漬けの鮭を焼いたものと、ありあわせの野菜で炒めもの、家にあるわかめと買った豆腐でのお味噌汁が今日の献立だ。
スーパーを出ると、時おり、お米の袋を持ちかえながら、帰り道を歩いた。
信号のない交差点に差し掛かり、ふと足を止める。
右手にはあの公園。
薄桃色が広がっていた。