Happy garden.【短編】
「なんでや」
説明もなしでは当然、納得してくれない。
説明しなきゃと思うのに、何も言えずにうつむいた。
米を持つ手がじんじんと痛む。
「理由をずっと考えてたんだ。でも、見つからなかった。
最後にお弁当を届けてくれたときは、いつも通りに笑って話して、変わったことはなかった」
その言葉に頷いた。
たしかに、あの朝はいつも通りの幸せな朝だった。
「じゃあ、何があったねん。隠さずに教えてくれ」
「ほんとに何もないの。ただ、自分がどんなに厚かましいことをしているのか気づいただけで……」
袋を持つ手の力を強める。
「厚かましい?」
意味がわからない、と声から感じとれて、顔をあげた。
「だって、彼女でもないのにお弁当を作るなんて。
誠司さんの彼女さんがどう思うかって考えたら、もう作れない」
「ちょい待ち」
誠司さんは眉間のしわを一瞬深くすると、すぐに緩めて、わたしの両肩を掴んだ。