Happy garden.【短編】
そのことに気づいて、うっすらと瞳を開けた。
誠司さんは寄せていた顔を離して、眉を寄せて上を見るようにして考えこんでいた。
「ああ、そっか」
30秒もしないうちに彼は納得したような声をあげた。
わたしに向き直ったその顔は晴れ晴れとしている。
「な、なに?」
気になって、問いかけた。
「女の人が出てきたのって、最後の弁当の日やろ?」
「ええ」
わたしの返事を聞いて、誠司さんはにんまりと笑った。
「それ、姉貴やねん」
「アネキ……、お姉さん?」
誠司さんの言葉が上手く飲み込めなくて、呟きながら、意味を理解した。
その途端、「嘘」と叫んでしまう。
「あの人、若かったよ!? 32歳の誠司さんよりも年上には見えなかった」
綺麗で若い独身女性。
そう見えたからこそ、不安だったんだ。