Happy garden.【短編】
まして、大阪にいるはずの彼の家族がここにいるなんて、思いつきもしなかった。
「それ、姉貴に言ってやったら喜ぶよ」
「本当、なの?」
「ああ。結婚が決まったからって、わざわざ旦那になる人連れて挨拶に来たんや。
ほら、俺が正月にも帰らへんから」
「結婚の挨拶に?」
旦那さんの姿なんて見なかった。
わたしの疑問に気づいたのか、誠司さんは付け加えた。
「旦那さんは先に下りて、車を回しに行ってたから、ちょうど姉貴と二人きりでおるとこを見たんやろ」
「……なんだ」
安心して、力が抜け、体が崩れ落ちそうになった。
そんなわたしを支えるように、いつの間にか彼の両手は背中と腰に回され、彼の腕の中にいた。
耳元で誠司さんがささやく。
「なあ、俺のことが好きなん?」
それを聞いて、ものすごく恥ずかしくなった。
顔に熱が集中する。