切望と絶望の扉
ただ俺の心境は変化してきていた。目前に死が迫っているというのに不思議と足が動くものだ。
震えもなく、笑えと言われれば笑うことさえできる。恐怖が怒りとになり、さらに己に対し呆れ果てて自暴自棄にでもなってしまったのか。
屋外の広場に出た。俺の腐りかけの目に強い日差しが入ってきた。それは、何かに追われ暗い穴に落ち逃げ場のない人間に対しての救いとなる希望の光だったのかもしれない。
眩しい。
もう朝だったのか…。
他の囚人たちもいる。このでの朝の運動として縄跳びが始まるらしい。軽い運動を日々することが死を待ちわびる人間にとって健康面、精神面でも重要ということなのだろうか。
俺もみなと同じく縄を持たされると、周りに目を配った。
他の囚人たちは意外にも楽しそうに飛んでいた。もちろん、彼らはここにいる限り、俺と同じ結末をむかえるだろう。ただ遅いか、早いかの違いだ。そんなことを考える俺の心はまた暗い穴に落ちた。
…まだなのか!?
俺の心搏は徐々に上がり始めたのだ。