切望と絶望の扉

 明かりは部屋の真実の姿を映し出した。女は胸から大量の血を流し、目を開けたままだった。

    …死んでる…。

 …左胸から血…他殺だ……この女は誰かに襲われたのだ…。

 心搏など再度確認する必要がないぐらい確実な死であった…。

 おれの記憶がないのも誰かに襲われたからなのか…。

 部屋を見回すと荒らされた形跡はない。テーブルの上に倒れたグラスとそこから滴るワイン…。
 これはさっき暗闇の中、おれがやったものだ…ソファーには…ん!?

< 19 / 27 >

この作品をシェア

pagetop