切望と絶望の扉

「この部屋でいい。別室の件はなかったことにしてくれ。」

 おれは焦りながら言った。

「空調不良は当ホテルの責任でございます。お客さまに快適な空間を提供するのが、義務でございますのでこのような件にに限りましては御了承くださいませ。」

 融通の効かないホテルマンに押し切られたおれは、
「30分後にチェックアウトでいい。用事があるんだ。」

 と、言い切ってしまった。

「はい!?…かしこまりました。」

 ホテルマンはあっけらかんとした口振りだった。そして、内線は切れた。


 部屋の掛け時計を見ると午後11:30だった。

 タイムリミットは残り30分を切った。

    …急がねば!



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