切望と絶望の扉
おれは極度の頭痛とともになすがまま床にひれ伏せていた。
一秒単位で削られていく、このホテルでの限界活動時間…腕時計を見ると、残り5分に差し掛かっていた。
…もうだめだ…
と思ったその時、すうっと頭から何かが抜けた感覚がした。
しめた…頭の痛みが和らいできたのだ。
おれは頭に手を当てながらよろよろと立ち上がり、千鳥足でバスルームから抜け出した。
大理石状の床の血を備え付けの濡れおしぼりで拭き取り、私物を探した。
おれは手ぶらでチェックインしたらしい。ベッドの枕元に女の荷物と思われるハンドバックとこの部屋の鍵らしきものがあった。
鍵には506と書かれていた。
…ここは…4階なのか…
おれはそれらを手に取り、血の付着したおしぼりはトイレに流し、部屋をあとにした。