切望と絶望の扉


 頭痛はもう完全に去っていた。おれは通路に人がいないことを確認するとエレベーターまで急いだ。


 エレベーターの下りボタンを押すとまだ一階だった。

 今何時だ…腕時計ではすでに0時を回っていた。


 ん?…待てよ…よくよく考えれば、おれがフロントに鍵を返すまで誰も部屋に行くことは常識的にないだろう…。バスルームの女の死体に気付くまでの時間もあることだし、これなら逃げられる…このホテルから…確実に…。



 秘かに希望が見えてきたおれをどん底に突き起こしたのは少しずつ上ってくるエレベーターにあった…。
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