切望と絶望の扉
俺は自分がどのような罪を犯したか、そして、最初に目覚めた牢の向かいにいた男が言っていた20数時間後がどうなるかの検討が大よそついてしまっていた。それが恐ろしいものであると。
その途端、身震いが止まらなくなり、足はこれ以上前に出なかった。ただ、理由はここにあった。
実に簡素な部屋だった。黄ばんだ壁は所々白く、それはどうやらポスターやA4サイズの紙を剥がした跡のようだった。煙草のヤニなどのせいで白く強調されているのか。そういった壁に囲まれた中には使い古されたテーブルと椅子一脚ぐらいしかなかった。テーブルの横幅は大人二人分やっと座れるというとこで、そのテーブルの上にこの部屋に似つかわしくない豪勢な料理が並べられていた。
つまり、ここにあった…これが自分の命の終わる時を示唆させていたのだ。料理だと。刑務所でこれだけの食事にあり付けることなどはまずない。普通の光景ではないのだ。
背後にいる看守の一人が硬直したおれの背を力づくで押していきながら、席までつけた。